「タッチ」見て、「ラフ」を想像する。

これは「今現在の長澤まさみさんの素晴らしさを永遠に保存するための映画」としてはよく撮れているな、と思いました。
全部書いて見てみたら、すっげ長いので「続きを読む」にします。
しかし、すでに一年前にそんなことはわかっていたのでした。若かった。↓
「タッチ」実写版は長澤まさみのための映画 - ツブヤキリリカル
けっこうコレ以上無いキツキツのプロットになっていて、ヤケクソな感じがわかる。作る方に同情してしまう映画。せっかくだからすこし詳細に感想を書いたりします。

  • キャスティング、及び役の描かれ方に関して。

一番印象に残ったのは、本田博太郎演ずる明青高校野球部の監督。原作の西尾監督でも柏葉英二郎でも無く、津川という役名の全く透明な監督なんだけれども本当の黒幕はこいつなんじゃないか的な妙な存在感があった。怖そうな顔でめっちゃ優しい監督。数少ない映画オリジナリティの一つ。
和也、達也の父、上杉信悟役の小日向文世。この方は素晴らしい。あだち充のマンガに出てくる父親にだいたい適応できそうなヘラヘラぶりだ。もっとも、このキャスティングはそのまま「木更津キャッツアイ」からの引用だ。
肝心の学生の方は、実際そんなマンガのイメージにしっくり合うような若い役者いません!もしくは予算ありません!もしくはスケジュール合いません!ってことだろう。

  • 撮影する場面の選び方について。

「こんなのはタッチじゃない!」的な制約が多すぎて大胆な撮り方はしていない。とりあえずはずせない場面のみを厳選しきった印象があって、遊びの要素が全く無いのは残念。
個人的には「死んでるんだぜ」の前に達也が無言で両親を病院につれていくシーンが欲しかった。原作でお父さんが燃え尽きた矢吹丈みたいになっているのが印象的だったので。
あとなんといっても、浅倉南が新体操をしないことがもっともダメ。これで映画の価値半減くらい。ただ、南が球場に駆けつけるところ、神宮球場の要所要所はあだちマンガおなじみのショットが多めに入っていて、原作ファンに気を使っていた。
そして、エンドロールの直前に「上杉達也浅倉南を愛してます」を無理やり押し込んでくるあたりがヤケクソというか、作り手の怒りを感じる。「もー無理無理入れるならここです。」みたいなアイロニー

  • 音楽について。

ユンナが歌う「タッチ」を挿入してくるタイミングはココ一番でとてもよかった。エンドロールを見ると、この曲の編曲は恩ちゃんがやっていて、エンディングもYUKIだったのでなんかジュディマリが絡んでいるのが不思議ですね。

以上踏まえて、「タッチは全26巻、国民的アニメでありやたら制約が多い」のに対し、「ラフは全12巻でタッチよりかは少し余裕がある」、「タッチにくらべれば知名度が低く、ライトな層に対して新鮮味があるかも。」、「大谷健太郎は『NANA』で人気マンガの実写化の経験を積んだ」などを考慮すると映画の出来は良くなりそう?ただ、繰り返すように速水もこみちというミスキャスティング及びタッチ企画の二番煎じ感は否めないので興行収入的にはヒットしないかも。

個人的には、「一日デートのシーン」「二宮家潜入のシーン」あたりがツボですが映像化はされなさそう。ラストシーンは「テープに吹き込んで告白」という例のヤツですが、今時テープで聞くだろうか?というところが心配。